彼と結ばれなければ幸せになれない その3(途中)

彼と結ばれなければ幸せになれない その3(途中)

最後の3人目は、前二人とは少し違います。
まず、作品の主人公ではありません。そして、ある意味ハッピーエンドとは言い難い結末です。それでも、自分は彼女が幸せだったと思っています。


芙美香(緋の稜線 著:佐伯かよの)
芸者の芙美香は、16歳で初めて座敷に上がる。そこで菱屋百貨店の社長、各務昇吾に出会い、惹かれていく。やがて、女将から水揚げの相手として昇吾をと言われ、頬を赤らめる。それを見た女将は、話を進めようとするが、堅物の昇吾には断られた。仕方がない、向こうがお客である以上無理強いを言うわけにもいかない。アテはあるからと言い、女将もこの話を打ち切る。同じころ、芙美香の友達の千代も水揚げが近づく。しかし、彼女は映画俳優の熱狂的なファンであった。水揚げ前に、どうしても会いに行きたいと思い、芙美香をと一緒に撮影所に向かう。なんとかその俳優に会うことが出来、サインと握手をしてもらう。だが、それでも千代は気持ちを振り切ることが出来なかった。「好きでもない人に抱かれたくない。」その気持ちが、彼女に最悪の決断をさせる。千代は、自ら命を絶ってしまった。それは、芙美香にしこりを残すことになる。
やがて、芙美香にも水揚げの日やってくる。早く借金を返すため、家族に楽をさせたいためと、自分に言い聞かせようとする。しかし、頭の中に響く千代の言葉、「やっぱり、好きな人がいいよね」「好きでもない人に抱かれるなんていやだよね」。
そして、相手を突き飛ばして彼女は座敷から逃げ出してしまう。彼女はそのまま各務社長の家の前まで来てしまう。そこに昇吾が帰ってくる。芙美香に気づいて駆け寄る昇吾、だが彼女の体は冷え切っていた。そのまま、気を失ってしまう。病院で診てもらった後、昇吾は芙美香を本郷のある民家に連れて行く。そこは、家を建て替える時に家財道具を置いておくために買っていた家だった。
数日後、芙美香は母から昇吾が自分を身請けしたことを聞く。だが、昇吾は借用証書を芙美香に渡してこう言った。「これできみは、自由の身だ。芸者を続けるもよし、実家に戻るのもよし、自分の望む通り生きていくといい。」
芙美香にとってはショックなことだった。身請けされると言うことは、自分がその人のものになるということ、好きな人のものになるということは芙美香にとっては嬉しいことのはずだった。だが、昇吾の言葉はその喜びを打ち砕くものだった。
わかっている。昇吾には奥様がいる。彼は奥様と子供が写った写真を肌身離さず持っている。それほどに奥様を大切にしていることも。
それでも、芙美香は自分を押さえられない。
「わたしの体を自由にしても、私の気持ちまで自由にはならない」そう言って芙美香は、自分の想いの全てを昇吾にぶつけた。そして、とうとう昇吾は、芙美香を受け入れた。


すいません、続きはまた来週書きます。