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彼と結ばれなければ幸せになれない その2

二人目の紹介です。
今度は「ときめきトゥナイト」よりもさらに古いです。

水穂路実(アリエスの乙女たち 著:里中満智子)
主人公水穂路実は、転校先で同じおひつじ座生まれの久保笑美子と知り合う。二人は、自分たちが異母姉妹だということを知る。
しばらくして、二人は同じ男性の磯崎高志を好きになるが、路実は笑美子を思いやって身をひくことにする。路実に惚れていた不良の結城司は、彼女が泣いているのに気づき、磯崎に詰め寄り殴った。
一方的に殴られて治療をしていた磯崎の元に警察がやってくる。彼の父が浮気相手の女性と心中を図ったらしい。
数日後、路実は笑美子と一緒に磯崎の父の葬儀に参列した。受付をしているところに結城司が姉の代わりとして焼香に来た。結城の姉も以前、磯崎の父の浮気相手だった。そこで路実は結城が私服で来ていることに気づく。磯崎への暴行事件が元で彼は、退学になっていた。しかし、彼の表情は学校で見たようなギスギスした様子はなく、晴々したやさしい印象を路実は感じていた。そこで、彼女は以前彼が言っていたことの疑問をどうしても聞きたくなった。

男にとって、言葉は第3の価値しかない。
第2の価値は行動。

以前、彼はそこまでしか言わなかった。第1の価値は自分で考えろと。

路実は、もう一度彼に第1の価値を尋ねてみることにした。

「言葉は行動を説明し付け足すための表現だ。そして、行動は・・・
生きる姿勢を表現するためだ。」


そう、その人の生き方によって行動が決まり、行動によって言葉が生まれる。

路実は、ここから結城の価値観に共鳴して惹かれていくことになる。

数日して、路実は結城が工事現場で働いているのを見る。気がついた結城が声をかける。そこでちょうど昼の時間になり食堂にさそわれる。どこか憎まれ口のような好き勝手な会話をしている二人。だが、とても楽しそうだった。そして、路実は自分の気持ちに確信を持ち始める。

「好きよ、あなたが」
食堂を出たところで自分の気持ちを伝える。
「そうか、わかった」、結城の素っ気ない返事。
しかし、二人にはそれで十分だった。

これから先、二人の人生は重なっていくと思われたが、それが暗転する。
結城は、在校していた頃の不良仲間の敬子を妊娠させていた。結婚を迫る敬子、結城は「結婚はできない。生まれた子は自分が引き取る」と言うが、あきらめられない敬子は、歩道橋から飛び降りようとする。敬子をそこまで追い詰めてしまったことに責任を感じ、結城は敬子との結婚を承諾する。
それは、ふたりの苦悩の始まりだった。

彼が結婚してからも、結城への想いを断ち切れない路実、結城もまた結婚というかたちで責任をとったといえるが、敬子を愛することはできなかった。やがて、結城はある決意を固め始める。そして、話があると言って路実を待ち合わせる。

「愛人になれ」それが結城の言葉だった。
路実は・・・拒絶した。中途半端な愛などいらないと。そして、結城の元を去っていく。結城は、引き留めなかった。
彼にはわかっていた。彼女が出す答えを。これで、路実は自分を忘れることができる。そのための行動だった。
だが、結城が路実のことはわかっているように、路実もまた結城のことをよくわかっていた。しばらくしてから、路実は考え始める。結城には自分が出す答えがわかっていたはず。にもかかわらずあんなことを言ったのは、自分が結城のことを忘れるようにし向けるためだったのではと。

一方、結城は中退してから弟子入りした陶工の家で焼き物にやっていた。しかし今日は、路実の面影がちらついて注意が散漫していた。それがバーナーの異変に気づくのを遅らせた。師に注意されバーナーを調整しようとした時、窯が爆発した。破片が目に当たり、目の痛みを訴える結城、病院で目をいたわるように言われる。だが、結城は窯にもどるなり一心に焼き物に没頭した。どうしても焼きたいものがあった。思うとおりの色が出せず、何度も失敗を繰り返す。それでも結城は焼き続けた。
そして、完成させた。師匠が工芸展に自分の作品の代わりとして出すというほどに見事な深みのある赤だった。それは、彼が唯一愛するひとの色だった。
しかしその代償は大きく、結城はしばらくして完全に失明してしまう。そして敬子は、失明した結城、体をこわしている結城の姉、そして息子大介の世話にしばられたくないと言って家を出てしまう。

体をこわし、伏せっていた結城の姉は、結城の代わりに働きに出ることにする。玄関を出てすぐのところで路実がいることに気づく。彼女は失明したと聞いて結城を心配して様子を見に来ていた。路実がそれだけ弟のこと心配していると知って、姉は路実をつれて一度家に戻り結城に、路実に世話をお願いできないかと提案する。しかし、結城はそれを拒絶した。あの人のことはもう忘れたい。彼女も自分のことは忘れているだろうと。
ショックを受ける路実。それでも、路実は彼のそばで彼の世話をしたいと思った。そして、姉に頼んで、口のきけないおばさんということで、彼の世話を始める。路実は、その中で満ち足りた幸せを感じていた。

しばらくして、結城は姉に庭に仕事場を作って欲しいと頼む。目が見えなくても、焼かなければいけない、ただ一つの言葉を言うために。そんな決意を秘めていた。
そして、それを見ていた路実は結城の師匠の元に行き、弟子入りを申し出る。それは、結城の目となって一生を送る決意だった。師は自分は弟子をとらない主義だといい、娘の千尋に教えるように言った。厳しい指導が続く、一言の弱音も吐かずについて行く路実。しかし、過労と貧血で倒れてしまう。

体調が回復して結城の家に行く。結城は見えない目で一人で焼き物に取り組んでいた。すぐに、結城の手伝いをする路実。結城は彼女が焼き物を勉強していたことに驚いていた。ほどなく、焼き上がりの時間になる。火を止めてもらったところ言う。
「自分は土とくすりの調合と温度と時間を考えただけ、実際、乾燥させたりやいたり薬をかけたのは・・・・あなたです。」そして、さめるまでここにいるという。路実も一緒に待つことにした。
やがて、夜が明けて、窯から出す時間になった。
出した壺にふれて、結城は自分が出したかった肌ざわりのものが焼き上がったと確信する。そして、
「おまえの肌だ! 路実!」
今の自分には資格がない。その言葉を言えるだけの自信が欲しかった。彼はただ一言、その名を呼ぶために、彼女の肌を焼いていたのだった。




あらすじの中に入れませんしたが、路実は朝夕に焼き物、昼は結城の世話をするため、高校を自主退学しています。
本当に、自分の生きる道は結城とともにある。と思わせるキャラクターでした。

追記、
この話で出てきた三つの価値、これを真中に当てはめてよく考えたことがあります。
第3の価値、言葉は西野への告白。
第2の価値、行動はその後のキス。
言葉で、信用できないと言った西野に、キスと言う行動で示した真中。
一度は、それで安心していた西野も、まだ不安を抱えていた。そして、
第1の価値、生きる姿勢として映画監督を目指すというはっきりとした自分の目標を持って、どう生きるかを示して、西野は真中を信じられると感じた。

バレンタインの時の二人のやりとりを考えている時に、思い出して当てはめました。真中の生きる姿勢が変わったから、西野の不安が消えた。というのが自分の解釈の一つです。以前、<「西野は東城が告白したことを知らない。」>で書いた解釈の根本と言えるかも知れません。
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