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彼と結ばれなければ幸せになれない その3

彼と結ばれなければ幸せになれない その3

7月12日、追記しました。

最後の3人目は、前二人とは少し違います。
まず、作品の主人公ではありません。そして、ある意味ハッピーエンドとは言い難い結末です。それでも、自分は彼女が幸せだったと思っています。


芙美香(緋の稜線 著:佐伯かよの)
芸者の芙美香は、16歳で初めて座敷に上がる。そこで菱屋百貨店の社長、各務昇吾に出会い、惹かれていく。やがて、女将から水揚げの相手として昇吾をと言われ、頬を赤らめる。それを見た女将は、話を進めようとするが、堅物の昇吾には断られた。仕方がない、向こうがお客である以上無理強いを言うわけにもいかない。アテはあるからと言い、女将もこの話を打ち切る。同じころ、芙美香の友達の千代も水揚げが近づく。しかし、彼女は映画俳優の熱狂的なファンであった。水揚げ前に、どうしても会いに行きたいと思い、芙美香をと一緒に撮影所に向かう。なんとかその俳優に会うことが出来、サインと握手をしてもらう。だが、それでも千代は気持ちを振り切ることが出来なかった。「好きでもない人に抱かれたくない。」その気持ちが、彼女に最悪の決断をさせる。千代は、自ら命を絶ってしまった。それは、芙美香にしこりを残すことになる。
やがて、芙美香にも水揚げの日やってくる。早く借金を返すため、家族に楽をさせたいためと、自分に言い聞かせようとする。しかし、頭の中に響く千代の言葉、「やっぱり、好きな人がいいよね」「好きでもない人に抱かれるなんていやだよね」。
そして、相手を突き飛ばして彼女は座敷から逃げ出してしまう。彼女はそのまま各務社長の家の前まで来てしまう。そこに昇吾が帰ってくる。芙美香に気づいて駆け寄る昇吾、だが彼女の体は冷え切っていた。そのまま、気を失ってしまう。病院で診てもらった後、昇吾は芙美香を本郷のある民家に連れて行く。そこは、家を建て替える時に家財道具を置いておくために買っていた家だった。
数日後、芙美香は母から昇吾が自分を身請けしたことを聞く。だが、昇吾は借用証書を芙美香に渡してこう言った。「これできみは、自由の身だ。芸者を続けるもよし、実家に戻るのもよし、自分の望む通り生きていくといい。」
芙美香にとってはショックなことだった。身請けされると言うことは、自分がその人のものになるということ、好きな人のものになるということは芙美香にとっては嬉しいことのはずだった。だが、昇吾の言葉はその喜びを打ち砕くものだった。
わかっている。昇吾には奥様がいる。彼は奥様と子供が写った写真を肌身離さず持っている。それほどに奥様を大切にしていることも。
それでも、芙美香は自分を押さえられない。
「わたしの体を自由にしても、私の気持ちまで自由にはならない」そう言って芙美香は、自分の想いの全てを昇吾にぶつけた。そして、とうとう昇吾は、芙美香を受け入れた。

7月12日追記

同じ頃、昇吾の妻である瞳子は大阪でスーパーマーケットを開こうと奔走していた。東京と大阪を頻繁に往復する日々、夫の昇吾ともほとんど会えない日が続いている。そんな中で昇吾は、罪悪感を感じながらも芙美香に安らぎを求めていた。
やがて芙美香が妊娠する。だが、芙美香は病気を患っていた、肺結核だった。昇吾は芙美香に子供をあきらめるように言う。一度は承知した芙美香だったが、病院で医師たちが話しているのを立ち聞きする。例え子供をあきらめても一年かそこら、あとは本人の気力でどこまで持つか。
「後1年・・・」それを聞いた芙美香は、病院を抜け出し本郷の家に戻った。連絡を受けた昇吾は家に向かう。
「私はここで子供を産みます。」彼女の決意だった。例え、自分の命を縮めることになっても、この人の子供を産みたい。その思いが彼女を動かしていた。
わかっていた、たとえ昇吾の子供を産んでもその子は日陰の身、向こうの子供と同じようには暮らせない。それでも、芙美香は自分が生きた証を、あの人を愛した証を残したいと思っていた。

やがて妻の瞳子が感づき始める。昇吾も、瞳子に真実を話すことを決意する。そして瞳子は芙美香の元を訪ねることにする。
「これがもし、あの人の子でなくても・・・それでもやっぱり産みたかったと思います。」
この言葉が、瞳子に過去を思い出させる。彼女は、昔望まれない子身ごもり、苦しんだことがあった。それでも瞳子は、たとえ昇吾と別れることになっても自分の子を産む決心をした。
「頑張っていい子を産むのよ。この子にとって、あなただけがたよりなんだから」
そう励まして瞳子は出て行った。妻として夫を許すのは難しい。だが女として捨て身で子を産もうとする彼女のことは理解出来る。その気持ちが彼女にもう一つの決心をつけさせた。おなかにつめものをして、周囲に妊娠したようにみせかけ、芙美香の子を自分の子として育てることにしたのだった。

大阪で開店したマーケットの様子を見に来ていた瞳子は、東京から連絡を受ける。芙美香が血を吐いて入院したのだった。病院に見舞いに行く瞳子、目を覚ました芙美香は瞳子のおなかを見て驚く。だが、「いいえ、私の子供はここにいるわ、あなたのこのおなかの中に。」それを聞いて芙美香は涙をながす。「安心して・・・産んでいいんですね。安心して・・・」
自分のわがままで、たとえ無事に生まれたとしてもずっと日陰で生きていくことになるかもしれない、そう思っていた。だが、もうその心配はしなくてもいい。自分は、この子を無事に産むことだけを考えていればいい。後のことは、この人が見てくれる。昇吾さんの選んだこの人なら、きっと立派にこの子を育ててくれる。芙美香にはそんな確信があった。
病院を出た瞳子は、姉の寿々子の家によった。そこで芙美香の姿を思い出す。やせこけた頬、ほとんど骨と皮だけのような手、それでも彼女は生きる力の全てを子を産むことに使い切ろうとしている。瞳子はその姿を思い出して迷っていた。子供をあきらめて治療に専念すれば、もう一度人生を生きられたかもしれない。安心して子供を産みなさいなんて、傲慢だったのではないかと。そんな瞳子を寿々子はしかる。人の生き方をそう簡単に他人がどうこう変えられるなんて、それこそ思い上がりだと。

そして、寿々子の家に電話が入る。それを聞いて急いで病院に戻る瞳子。病院では女の子が生まれていた。医師から、おなかの中でちゃんと抗体が出来ているから大丈夫と言われる。それを聞いて芙美香は、お乳をやりたいから起こしてくれという。
「名前をつけてあげて・・・母親から与えられたものを一生持って行けるように。」
「望まれて、恵まれた、幸せな子であるように・・・望恵と。」
・・・望恵はまだお乳を飲んでいた。
「飲ませてあげて思い切り・・・もう、これが最後なんですもの」

昭和26年6月、芙美香17歳・・・・逝く。



周囲の人間を傷つけないために自分の恋を終わらせた東城。
周囲の人間を傷つけることがわかっていた(または、そのことに目を背けていた)、それでも昇吾に自分の全てをぶつけた芙美香、考えてみたら本当に正反対の生き方といえると感じました。

基本的には金曜の晩に投稿する予定にしていますが、今回は大分遅れました。すいません。
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