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夢紡ぐ糸 第4話 大切な人

「それじゃあ、西野さん今日はごちそうさま。」
「ごちそうさま、いろいろ話が聞けて楽しかった!」
「うん、あたしも楽しかった。それじゃね。」
つかさは、玄関でふたりを見送った。
居間に戻って、置いてある卒業アルバムをもう一度見ている。
「東城さんって、今は淳平くんのことどう思ってるんだろう。」
つかさは、それだけをずっと気にしていた。
並んで歩いている唯と綾、そこで唯はつかさの前で聞けなかったことを綾に尋ねる。
「ねえ、東城さん、」
「何?」
「淳平のこと、今はどう思っているんですか?」
綾は少し考えてから答えた。
「大切な人。」
「え、じゃあ今でも・・・。」
「ううん、そういうんじゃないの、前にファミレスで二人で話している時も楽しかったけど、高校の時と同じような気持ちは感じなかった。」
「ただ、真中くんがくれたものはものすごく大きい、映研の思い出、たくさんの友達、そして恋。」
「それらはすべて、真中くんと出会ってから得られた宝物なの。」
「それでも、高校の頃のあたしは真中くんしか見てなかった。小説を書くのも真中くんのため、そんな感じで真中くんのおかげでかなり変わることはできたけど、まだ自分の足で立ってはいなかった。」
「真中くんとの恋は実らなかったけど、あの恋を思い出にして、自分の足で立って、前を向いて歩いていけた。」
「そうして、高校を卒業してからは周りを見る余裕ができて視野が広がって、また自分が変わっていくのを感じられた。」
「でも、それも高校の時の自分が土台にあったから、やっぱり真中くんのおかげだと思っている。」
「だから本当に真中くんには感謝している。だから大切な人。」

「じゃあ、唯ちゃん、またね。」
「うん、東城さん、さようなら。」
二人は、途中で別れてそれぞれの家路についた。
唯は、綾と別れた後携帯を出してメールを打ち始めた。

「以上、唯からの報告でした。」
読み終えたつかさは、唯にお礼のメールを送った。
つかさの家で、綾が中座している間に、つかさが思わず「東城さんって今は、淳平くんのことどうおもってるのかな」とつぶやいた時に、唯が「だったら後で聞いてみてあげる」と話していたのだ。
(大切な人か・・・、)
(確かに、恋愛感情はないのかもしれないけど、それでも東城さんの中の淳平くんの存在ってやっぱりずっと大きいんだ。)
(淳平くんの恋人はあたしで、東城さんは仕事上のパートナーで夢を語り合う相手・・・。)
(何も不安になることはないはずなのに・・ どうしてもモヤモヤはなくならない。)
つかさは、自分の中に湧き起こりかけているいやな感情をなくそうとしていた。


「うん・・うん・・、そうだね、ずっとよくなったと思うよ。」
綾は電話中だった。
「でも、これだと取り直さなきゃいけないシーンもあると思うけど、大丈夫?」
「うん、わかった。あっあたしの方もいくつか考えているのがあるから、メールで送るね。それじゃあね、真中くん。」
電話の相手は淳平、変更箇所の連絡だった。
(真中くんとあたしの夢はまだ遙か彼方、でも一緒に映画を作っているとその夢に近づいているのが実感できる。)
(今作っている映画も、撮影が進むにつれてどんどんよくなっている。)
(夢はまだ実現できるかすらもわからないけど、真中くんと一緒ならできそうな気がする。)
(さて、明日はあたしも撮影現場に行くから準備しなきゃ。)
綾は、明日の準備をしながら遠い夢に思いを馳せていた。

暗闇で一人佇んでるつかさ。
離れたところに淳平を見つける。
〔淳平くん!〕
はっと見ると、隣には綾がいた。
〔東城さん・・・〕
長い階段が見える。
二人はその階段を並んで歩いている。
そして、同じ場所を見上げていた。
だが、つかさは二人を追いかけられない。
彼女は、その長い階段に乗っていなかった。

「淳平くん!」
「あっ・・・今の夢?」
(なんだろう、どうしてあんな夢を・・・)

-大切な人-
高校卒業の時に東城が言ったセリフ「あたしこれからはやれることたくさん頑張っていくから」
これを実践出来ているであろう東城は、かなり成長していると思います。
でも、それが出来るのは、ほとんど小説に書いたとおりです。

そして、西野が夢で見ている夢の階段。
高校時代にも夢の階段はあったと思います。ただ、高校時代のイメージは、真中が一人で先頭を歩いていて、その後ろに東城と映研のメンバーが歩いている。高2の時は、西野も一緒でしたね。
そして、高校時代の東城は階段を上りながらずっと、真中だけを見ていたんじゃないかと思っています。
真中のほうは、時々東城たちが一緒に着いてきてくれてるか後ろを気にしながら歩いていたでしょう。
対して、6年後の2人は並んで階段を歩いています。真中も東城も並んで歩いている相手を見ることは
ありません。高校時代と違って2人にはそれだけの信頼がありますから。


作中では、真中が監督をすることが決まる前に、東城は脚本を書くことになっていますが、
もし真中が自分の小説を映画化すると聞けば出来る限り協力しようとするでしょうね、”大切な人”ですから。
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