スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夢紡ぐ糸 第6話 夢の到達点

日曜日、淳平と綾は事務所の会議室で残りの撮影について打ち合わせをしていた。
ふいに、会議室の外が騒がしくなる。
「なんだ?」
「ちなみちゃんの声みたいね。」
端本ちなみは、この映画で女優デビューすることになった。
それほど出番が多いわけではないが、十分に役をこなしていた。
やがて、外の喧騒もピタリと止んだが二人はそれに気づかずに打ち合わせに集中していた。
「これで、後は撮影を完了させるだけだな。」
「そうだね。」
「しかし、東城が随分協力してくれたおかげで、本当に助かってるよ。撮影のスケジュールもそんなに遅れてないし、撮影が進むにつれてどんどん映画がよくなっている気がする。」
「東城と話してると、どんどんイメージが膨らんでいっている。東城に引っ張られているような気がするんだよな。」
「それは、あたしも同じ、真中くんと話してると自分の中でどんどん新しいものが生まれてる気がしてる。」
「きっと、お互いの才能を引き出しあってるんだよ。」
「俺が東城の才能を引き出してるなんて、ちょっと信じられない気もするけど、東城がそう言うならそうなんだろうな」
「でも、中学の時の真中くんのあの言葉がなかったら、あたし自分の小説を人に見せるなんて一生なかったよ。」
「中学かあ、ほんとあの頃に比べたら、東城も随分変わったよな。」
「それもこれも、真中くんとの出会いが全ての始まりだからね。」
「ああ、俺もあのときの出会いから、自分の人生が大きく変わったからなあ、あまり思い出したくないこともあるけど。」
「ふふ、そうだよね。あたしはあの頃一方的な片思いだったからまだましだけど、さつきさんと西野さんは随分振り回されてたみたいだもんね。」
「うう、それ言われると耳が痛い。」
「ふふ。」
「はは。」
二人は笑いながら会議室を出た。
「あれ、だれもいない。」
「そう言えば、途中から静かになってたね、もしかしてみんなちなみちゃんと出かけたんじゃない?」
「たく、ちなみちゃんも相変わらずだな。」
そう言って、淳平は携帯を取り出して、電話をかけた。
「もしもし、真中ですけど・・ ちなみちゃんもみんなも一緒ですか。それで、事務所には?・・はい、わかりました。戸締まりして俺たちもあがります。」
「東城、俺片付けと戸締まりして帰るけどって、東城、どうかした?」
綾は、一台のパソコンの前でモニタを見ていた。
「これ、ラブサンクチュアリだね。」
「ああ、なるほどちなみちゃん相手にみんなして占っていたのか。」
「ねえ、あたしたちもしてみない?」
「え、東城とか?」
「うん、最近は仕事の相性とかにも利用されているって聞いたことがあるよ。」
「そっか、おもしろそうだな。」
二人は、パソコンにそれぞれ自分のパーソナルデータを入力した。


しばらくして結果が表示される。
『お二人の相性度は・・・100%です。』
「「・・・」」
「100%って・・・はは、ちょっとすごいな。」
「うん、でも・・あ、この雑誌。」
綾は、近くにあった週刊誌を手にとってページをめくる。
「あった。」
「どうかした?」
「うん、これを見て。」
そこには、ラブサンクチュアリのプログラムを作った人の記事が載っていた。
そして、相性度100%は最初に泉坂高校の文化祭の時に一組だけいたが、そのカップルは参加しなかったという。
そして、今は90%以上のカップルには連絡をもらってお祝いの品を進呈しているが、未だ100%のカップルからの連絡はないということだった。
「この一組って・・。」
「間違いなく、俺たちのことだろうな。」 「「・・・・・。」」
「なあ、東城・・」
「うん、わかってる、これは二人だけの秘密だね。」
「悪い。」
「真中くんが謝ることないよ、今のあたしたちでこんなのが世の中にでたら大変な騒ぎだもん。映画の宣伝としてはすごいだろうけど、プライベート面でちょっと、お互いまずいことになりそうだから。」
「え?東城も?」
「そうよ、こんなの知れ渡ったら、彼氏なんて絶対出来ないよ。それでも言い寄ってくるのは、自信過剰なタイプばっかりだろうし、今でも割とそうなんだけど。」
「そっか、それもそうだよな。でも、さっき二人で話してたこともそうだし、俺、高校の時から感じてた。東城と一緒ならなんだって出来る気がしてた。この結果見てると、ああやっぱりそうなんだなって納得出来る。」
「うん、それに、あたしたちの遠い夢もこの結果見てるとすごく勇気づけられる気がする。」
「はは、確かにな、考えてみればとても到達出来そうにないような夢だったからなあ。でも俺も同じ気持ち、これを見てると、もしかすると到達できるんじゃないかって思い始めてる。」
「まだまだ、道は長いけどな。」
「うん、これからも一緒に映画を作っていこう、あの夢につなげるために。」
「ああ、もちろん!」


あたしたちの、夢の到達点はそのゴールすら見えなかった。
でも、今ゴールが見えた気がする。
見えているゴールは、まだ遙か彼方だけど、それでも、ゴールが見えたことは、あたしたちにとって大きな一歩だと思う。
あたしたちはそれに向かって歩き続ける。二人の夢を紡ぎながら。

東城の幸せ。end

原作19巻あとがきより
「彼女の恋愛面の幸せは描けなかったかもしれないけれど、未来の幸せは絶対約束されています。」

どういうつもりで、河下先生はこれを書いたのか? いまでも考えてます。
いつか将来、すてきな相手と巡りあえると言いたいのか。
何十年後の、ノートの小説の映画化を指しているのか。
それとも、具体的な未来を想像せずにこの文章を書いたのか。

河下先生が続きを描かないかぎり、本当のことはずっとわからないままでしょうね。
それで、自分なりに色々と想像してみました。

まずは、東城の相手(恋愛の対象or結婚相手)として、
天地は除外です。
 作中で東城に語らせたように、自信過剰なタイプは×
次に、日暮さん。
 原作の中では、一番まともな男性でしたし、包容力もありそうですしね。
後、想像したのが、専業主夫。
 もう、直林賞までとった彼女だと、経済面は彼女の稼ぎで十分ですし、小説家として忙しい彼女に 替わって、家事一切をやってくれそうな旦那さんもいいんじゃないかなあ、と思いました。

でも、どれをとっても東城の本当の幸せが見えてこないんですよね。
やっぱり真中と一緒にいる時間が一番幸せなのかなと思えてきます。

「じゃあ、真中と恋人になれなかった東城は不幸なんじゃないか。」
そういう考えもあるとは思います。
確かに、現実でもほとんどの人にとって恋人や家族は一番大切な存在です。
でも、中には人生のほとんどを自分の夢に賭けているような人間もいます。
真中もそう。真中が本格的に映画監督への道を目指したのはノートの小説を映画にするため。
でも、それは何十年かかるわからない大変なこと、人生のほとんどをその夢に賭けるようなものです。
当然、一緒に歩んでいくことになるであろう東城にとっても、同じです。
4話の解説でも書きましたが、真中が自分の小説を映画化すると聞けば、東城は協力を申し出ると思います。どちらにしろ、2人が一緒に映画を作るようになったら、2人にとって充実した時間になっていくと思っています。

> 真中くんと話してると自分の中でどんどん新しいものが生まれてる気がしてる。
真中の原作でのセリフ「東城と一緒ならなんだって出来る気がしてた。」これと対になる東城のセリフとして、考えたオリジナルです。
でも、後で気付いたんですけど原作で語ってるんですよね。
「あたしってほんとうに、真中くんが原動力なんだなあ」って、このときのは、好きな人がそばにいるから力がわいてくるという意味だとは思いますが、なんか自分が作ったセリフとつながりそうな気がしています。ただ、6年後の今は、恋愛感情を抜きにして特別な絆を感じていると思っています。
もちろん真中も同様です。

ラブサンクチュアリについて
前にも他サイト様の掲示板で書いたことがあるんですが、
「出生時刻と出生地、そんなものどうやって全校生徒分集めたんだ?」とつっこんでしまいました。でも、そんなものを設定しているということは、高一の時に真中と西野が占ったものとは全然違うということを示したかったじゃないかなと。
それだけ、ラブサンクチュアリの結果にはこだわっているじゃないかと考えています。
まあ、100%というのはやりすぎたかなとも思っていますが、(占星学の観点では、星の配置が同じなんてあり得ないということらしいので。)でも、創作の世界なので、このまま押し通すことにしました。

ラブサンクチュアリの結果を知って、お互いの絆を再確認して、夢に向かって2人で歩いていくことを誓い合う。

これが、東城の未来の幸せについて自分の出した結論です。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。